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突然やってくる頭痛…その種類と薬の乱用の危険性

2018年02月16日

Q.頭痛の種類と診断方法にっいて教えてください。
頭痛は、片頭痛,緊張型頭痛,群発頭痛のような痛みの治療が中心になる「一次性頭痛
」と、クモ膜下出血|脳腫瘍などの頭蓋内疾患、頸部疾患などの疾患が頭痛の原因になって
いる「二次性頭痛」に分類できます。「二次性頭痛」には命にかかわるような危険な頭痛がありますが、残念ながら痛みの強さや場所などで判断することはできません。片頭痛持ちの方で、鎬痛薬が効かないため来院され、検査でくも膜下出血と診断されることや、逆にくも膜下出血であろうと予測して検査を行っても異常がないことなどは時々あることです。頭痛診療でまず必要なことは「二次性頭痛」を除外するこど?す。その上で、十分な問診,診察を行い、たくさんある一次性頭痛から診断し治療を進めていきます。

Q.市販の頭痛薬を使っていますが、なかなか治りません。
市販の頭痛薬は鎮痛剤ですので、頭痛の原因がなくなるわけではありません。「痛みを和らげる薬」ですので、急に起こった軽度の頭痛であれば有効ですが、生活・仕事に支障をきたす頭痛の場合十分よくならず、我慢して仕事をしたり、暗い静かな部屋で数時間寝ていることも多いと思います。市販薬だけの治療で避けないといけないことは「薬を乱用してしまう」ことです。月に10〜15日以上鎮痛剤を内服するようになると、鎮痛剤が徐々に効かなくなり“頭痛をこじらせる8ことがあります。特に女性の方は生理前に頭痛がある方も多ぐどうしても鎬痛剤の使用頻度,使用量が多くなる傾向にあります。このような方は、ぜひ一度頭痛クリニック,頭痛外来などへご相談をしていただき、漢方薬や予防薬を使用しながら、痛くなる回数を減らすような治療をお勧めします。また、50歳以上で発症した頭痛や6か月以内に発症した頭痛、今までとは違う頭痛、徐々に増悪する頭痛、5分以内に痛みがビークに達する頭痛、頭痛以外の症状(めまい、しびれ、発熱、嘔吐など)を伴う頭痛などは注意が必要ですので、一度精査をお勧めします。

慢性頭痛は脳のサインかもしれません

2017年12月25日

皆さんは、のどの痛みが続くときには耳鼻咽喉科、胸痛があるときは呼吸器科や循環器科、上腹部痛があるときは消化器科、女性の下腹部痛は婦人科など受診されると思います。「痛いところに何か病気があるかもしれない」と思い、その専門家を選択して受診するのは当然のことです。胃もたれから胃カメラをしたら、早期胃がんが見つかり、早期がんで治療できてよかったというたぐいの話はよく聞きます。
それでは、頭痛の時にはどこを受診されますか?私の周りには内科を受診される方がたくさんいらっしゃいます。中には「薬局に行って頭痛薬を買う」と答える方もいらっしゃいます。しかし、その頭痛は脳のサインかもしれません。一度は脳神経外科、神経内科で頭蓋内に異常がないかを検査してもらうことをお勧めします。頭痛、めまいの検査でMRI検査を行い、くも膜下出血を起こす前の脳動脈瘤、脳血管奇形、脳腫瘍などいわゆる無症候性の病気が見つかることがあります。頭痛が病気のサインであったという状態です。脳に損傷を起こす前に治療が可能な状態のことが多く、計画的に治療が可能になります。

頭痛の市販薬は多くは鎮痛剤で、1920年ころから市販されています。その当時は医療機関を受診しても、頭痛だけで二次性頭痛を診断することは不可能であったため、医療機関でも鎮痛剤を処方するだけであったと思われます。そのため、頭痛で医療機関を受診する機会が減った可能性があります。しかし、1990年以降はCT、MRI検査が広く普及し、比較的容易に二次性頭痛を診断することが可能になっています。また、新しい薬で頭痛を軽減できる可能性もあり、市販薬だけで経過を見るのは100年前の治療と同じで、医療技術の進歩の恩恵を受けていない状態で避けるべきと思います。先日、私のクリニックに「頭痛ぐらいで診てもらえますか?」とおっしゃって来院された方がいらっしゃいます。一通りの検査、診断をさせていただき、慢性片頭痛でしたので頭痛の予防方法をご説明し、予防薬と鎮痛剤を処方させていただきました。片頭痛は予防薬もありますので、きちんと診断されれば頭痛回数を減らし、頭痛から解放される日を増やすことができます。

治る可能性がある認知症

2017年12月20日

認知症の症状があっても、元の病気を治療すれば症状が軽減、改善することがあります。
認知症かな?と思ったら一度検査を行うことをお勧めします。
手術で治療が必要な疾患としては慢性硬膜下血腫、特発性正常圧水頭症、脳腫瘍があります。MRI検査など画像検査で診断可能です。

内科的に治療が必要な疾患としては、甲状腺機能低下症、ビタミン欠乏などの栄養障害、重度の貧血、アルコール関連疾患、心不全、呼吸不全による低酸素などがあります。症状を確認し、血液検査を行うことで診断可能です。

そのほか、ベンゾジアゼピン系鎮静剤(入眠剤)、向精神薬、抗コリン薬、H2ブロッカー(胃薬)、抗菌薬、強心薬などの服用でも認知症状が出現する可能性があります。

特発性正常圧水頭症(idiopatic normal pressure hydrocephalus : iNPH)について

2017年12月17日

脳と脊髄には脳脊髄液が流れています。脳脊髄液の吸収障害や還流障害で水頭症という病気が起こります。特にくも膜下出血、脳出血、髄膜脳炎などの原因がない場合、特発性正常圧水頭症のことがあります。
歩行時にふらつきが起こる「歩行障害」、トイレが近くなり、我慢できなくなる「尿失禁」、行動や思考が緩慢になり、自発性が低下、物忘れも多くなる「認知症」が起こります。
このような場合は、特発性正常圧水頭症の可能性があります。

○歩行障害: 
歩行が徐々に遅くなります。歩く様子は足が上がっておらずすり足様で、歩幅が狭い小刻み歩行になります。また、足を広げてガニ股歩行になります。方向転換が難しくなり、転倒しやすい状態です。症状は数週間~数か月で進行性に悪化し、症状が悪化すると歩き始めの一歩目が出にくくなり、起立した状態が保持できなくなってきます。

○認知症:
周囲のことに関心がなくなり、注意力や集中力がなくなり、行動や思考が緩慢になります。そのため呼びかけても返答は遅く、挨拶をしても数秒後に返答したりします。
何もせずにボーっとしているように見えます。
 
○尿失禁:
尿意があってから我慢できる時間が非常に短くなります。また、歩行障害があるため、トイレに間に合わなくなります。また、膀胱に尿をためることができずに頻尿になることもあります。


診断、検査:
①症状を確認します。
A:歩行状態の評価
歩行状態を確認し、変形性関節症(膝、股)や腰椎症、パーキンソン症候群などによる歩行障害を鑑別します。さらに、歩行速度などを評価します。
その他、歩行障害の原因になるような運動麻痺などがないかどうか、神経学的所見を確認します。

B:認知機能評価
種々の知能評価スケール(長谷川式知能評価スケール、MMSEなど)を使用し評価します。

C:尿失禁
ご家族や日頃お世話をしている方に問診し、回数など確認します。
 
②MRIによる画像診断を行います。
水頭症に特徴的な脳脊髄液の分布の不均衡、髄液循環障害を疑う所見がないかどうかを確認します。
そのような所見がない場合、海馬、海馬傍回の萎縮の評価を行うため、VSRADによる
評価を行います。

③ 髄液循環障害の評価
○タップテスト(脳脊髄液排除テスト)
症状、MRI検査で水頭症が疑われる場合は、腰椎穿刺により少量の脳脊髄液を排除するタップテストを行います。腰椎に細い針を穿刺し、脳脊髄液を30ml程度排出します。
検査後に歩行障害、認知症、尿失禁などの症状が一過性に改善するかどうかを評価していきます。
検査により一時的に症状が改善すれば、手術が有効である可能性が高くなります。症状改善は一過性で、1週間程度で元の症状に戻ってしまします。
 
○CT脳槽造影検査
腰椎に細い針を穿刺し、造影剤を注入します。その後、頭部CT検査を行い造影剤の循環、吸収の状態を評価していきます。この検査は入院が必要です。

治療:余剰脳脊髄液を持続的に排出するため、髄液シャント手術を行う必要があります。
脳室腹腔シャント術、腰椎腹腔シャント術、脳室心房シャント術などいくつかの経路があります。いずれも全身麻酔下にシリコンチューブと流量をコントロールするバルブを皮下に留置する手術です。

当院では診断までを行い、手術が必要な方は、ご希望を聞きながら手術可能な施設をご紹介いたします。

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よしむら脳神経外科・頭痛クリニックは、福岡市東区にある脳神経外科のクリニック(医院)です。地下鉄で来院される場合が、箱崎九大前駅で降りてください(駅より徒歩約3分)。バスで来院される場合は、箱崎松原バス停にて下車してください(バス停より徒歩3分)。

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院長:吉村文秀

・日本脳神経外科学会認定専門医
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